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■クリティカル・シンキング゙と教育―日本の教育を再構築する (8/2/2009)
鈴木健 世界思想社 \1,995
最近この手の本をよく読むのですが、クリティカルシンキングを考える上で比較的面白かった本なのでご紹介です。
この著者は教育学の専門家であり、いわゆるビジネスの世界におけるクリティカル・シンキングの専門家ではありません。まったく違った分野の方が教育学の世界からクリティカル・シンキングを論じているのですが、これが結構面白いのです。クリティカル・シンキングというとともすればコンサルタントやMBAスクールで論じられる世界と思っていましたが、なんとその発祥はもともと教育の世界のようです。お読みになるとわかるのですが、暗記型教育の批判から生まれた思考型教育を支えたのが、このクリティカル(批判的)シンキングだそうです。
ともすればクリティカル・シンキングはロジカルシンキングの一部と考えられがちですが、その基本や考えの意味、アプローチなど基本をきちんと知ることは大切ですし、それがあって初めてロジカルシンキングの各種ツールが仕えこなせることになります。ただしこの本はもともと論文ですので、半分ぐらいはあまり面白くない論文が続きますが..
ということで、クリティカル・シンキングの基本をきちんと学びたい方に。
■徹底のリーダーシップ (8/2/2009)
ラム・チャラン プレジデント社 \1,429
私の好きな「ビジネスの極意は、インドの露天商に学べ!」の著者で経営学者である、ラム・チャラン氏の最新作であり、非常に面白かったのでご紹介です。
変化の時代におけるリーダシップを紹介したこの本、さすがに昨年のリーマンショック後に書かれた本だけあって、激変の時代を生き残るマネジメントの姿勢が明確にされていることに感心させられます。これまでの単なるマネジメント教科書ではなく、2008年9月以降の混乱の世の中で生き残るための知恵が満載です。さらにトップマネジメントの一般論だけでなく、営業や製造、スタッフなどあらゆる部門におけるリーダシップが示されているため、多くのビジネスパーソンにとって読む価値があります。チャラン氏は現在の状況において「時間こそ財産」と主張しているため、私がざっと読んでも短時間で要点だけがわかりやすく頭に残りました。
内容的には、変化が早い時代におけるスピードあるマネジメントのあり方、特に年次で目標を設定/更新するのではなく日々をきちんと評価する姿勢は、本当に重要と思いました。そのほかにも製造品目を再評価する営業姿勢の重要性、顧客の客を意識したマネジメント、リアルタイムで情報を知る重要性、サプライチェーンの見直し、変革を前提としたトレーニング、人員配置など、役立つ情報が満載です。私としては企業経営者がこの混乱にどのように立ち向かうかをきちんと示す姿勢の大切さ、さらに混乱する時期だからこそのキャッシュフローの重要性を再認識できました。さらにコンプライアンスを確保するIT組織と、採算性があり直接収益性のあるITプロジェクトを重視するという当たり前の指摘が非常に心に残りました。
ただしラム・チャラン氏は、この経済混乱が2〜3年続くと予測しているようであり、企業を経営する私にとってはあまりあたって欲しくない予測に思えました。
ということで、変革の時代をどのような姿勢で乗り切るべきかのヒントが欲しい方に。