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勝間さん、努力で幸せになれますか  (1/17/2010) 

 勝間和代、香山リカ  朝日新聞出版  \1,050

 つっこみどころ満載の本ですが、ある意味面白かったのでご紹介です。

 ことの発端は香山リカ氏の「しがみつかない生き方」という書籍の中で、「<勝間和代>を目指さない」という章で勝間和代氏のような生き方を批判したことにあるようで、この本で対談という形で両者の主張をぶつけ合っています。しかしこれが見事にかみ合っていない!私はもともと勝間氏の主張や本が好きではないのですが、それを上回る香山氏の言動やスタンスの歪曲ぶりが素晴らしく、これほどコミュニケーションのキャッチボールが出来ないことを見せてくれる本も珍しいかもしれません。それでも勝間氏は自分の考えや想いを理解されようと必死に論理展開するのですが、相手する香山氏が非論理のため見事に平行線ですし、まったくかみ合いません。漫才のような展開に、ついつい読みいってしまいました...

 とはいえ勝間氏の言動は、俯瞰して見るとコンサルタントそのものの論理展開であり、残念ながら私の考え方と似ていました。コンサルタントというのは本当に同じような考え方・論理展開をするんだなということを再確認させられましたし、だからといってそれが何の役に立つわけでもなく、相手を力づくで押し切るだけ、ということなのですが...
 ということで、いろいろな意味で勉強にはなりました。しかし世間で言う勝ち組であるお医者さんが、『「努力もできず、向上できなくても、自分は生まれただけで生きる価値や権利がある」などと主張する本当の理由は「自分がそうだから」』とさらっといわれるのには、さすがに驚きました...自称「頑張りたくない人間」である社会的保証のあるお医者さんのこの発言は、努力をしても報われなかった人間の感情を思いっきり逆なでしますね...

 ということで、面白いどつき漫才の「ボケ・ツッコミ」を学びたい方、必読!

 

利益第二主義―過疎地の巨大スーパー「A-Z」の成功哲学  (1/17/2010) 

 牧尾英二  ダイヤモンド社  \1,429

 苦しい時代の経営哲学という意味で、結構面白かったのでご紹介です。

 鹿児島県の過疎地にある巨大スーパーである「A−Z」の事実上の創業者である牧尾氏の、経営哲学を記した本です。本を読んだ限りではいわゆるカリスマ型経営者ではなく、極めてエンジニア的発想をされる方のようです。もともと日産の技術者であったようで、一つ一つ論理的に考え、最終的にはお客様のためになることを率先しようとするこの方の姿勢は、非常に共感できるものでした。

 面白いと思ったのは、エンジニア的発想により店舗経営の合理化や効率化を追求すると同時に、その背景に極めて常識に縛られない非まじめさと、お客様を本当に大切にする心をお持ちの点です。直接的な利益や儲けを追求するのではなく、長期的に顧客と店舗が繁栄する方法を追求するという考え方は非常に納得いきましたし、我々がいかに常識に縛られているかを感じさせられます。IT業界が直面している厳しい状況において、一人一人のエンジニアがこのような考え方をできるか、また共感できるかが生き残りの秘訣のように感じました。

 ということで、すべてのITエンジニアにお勧め!