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■デジタル教育は日本を滅ぼす (10/17/2010)
田原総一朗 ポプラ社 \1,470
タイトルにつられてデジタルネイティブ研究の一環で読んでみましたが、ある意味大当たりだったのでご紹介です。
タイトルを見る限り、ITを利用した教育について言及されているように思うのですが、中身は普通の教育に関する書籍です。日本の教育がどのような変遷を経てきたのか、ゆとり教育がなぜ生まれ、どう変化して行ったのか、教育の問題の本質はなにかを、様々な人物のインタビューを通して明らかにしています。事実か否かはもう少し調べる必要はありますが、様々な利害と主張の対立が現在の教育を産んだことが明確になっています。
子供が学習に興味を持たなくなったこと、そういった子供たちにどのような教育を提供することが重要化を様々な実例をもとに説明してくれますが、結局私の講座スタイルしかないことがわかったことが収穫でした。デジタル教育については、たった5ページしか言及していないことは御愛嬌ですが、現在、および将来にわたる教育の問題を考えるヒントになることは間違いありません。
ということで、これからの新人教育等を企画される方、必読!
■この国を出よ (10/10/2010)
大前研一、柳井正 小学館 \1,400
ただただ面白かったので、ご紹介です。
もう言うまでもなくお名前の知られた大前氏と柳井氏が、掛け合いのように一章ずつを交互に担当し、現在の日本に関するさまざまなテーマについて言及した本です。これが本当に正鵠を射ており、本当にあっという間に読むことができましたし、その内容のすばらしさは筆舌に尽くせません。日本の現状を政治や経済の様々な面から考察し、これを変革するために個々人がどのように変革すべきか、社会や経済がどのようなことに取り組むべきかを提言してくれます。当たり前とはいえ、日本は優れた国である、という根拠のない怪しい感覚の正体を暴いてくれますし、我々の危機的状況を本当に具体的に知ることができるよい本と思います。
ただし一つだけ残念なのは、この状況を変えるために我々自身が何をすべきかというメッセージが今ひとつ弱かった点です。政治レベルや経済レベルでの提言はあるのですが、一人一人が今何を考えどのように行動すべきか、もう少し具体的なヒントがあるともっと面白かったように思います。現状や問題指摘の裏返しと取って、知的労働のできる国際的人間になろうというのはわかりますし、「自力で食える」人間になる必要性も理解できるのですが、そのために何をしていくべきなのか、お二人の考えをもっと知ることができるとよかったのですが...
ということで、若者はもちろん、日本の現状を憂いているすべての人、必読!!