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障害者の経済学   (1/9/2012) 

 中島隆信  東洋経済新報社  \1,680

 他の本と一緒に何気なく購入した一冊でしたが、非常に面白かったのでご紹介です。

 タイトルにあるとおり、障害者の福祉のあり方を経済学的な観点で論じた本ですが、アクセシブルテクノロジを一応専門としている私でも、知らない、あるいは非常に興味深いさまざまな考え方が提示されており、情報価値の高い本と思いました。ついついひとくくりにされがちな障害者というものを、さまざまな障害があり、一律の制度では解決ができない点は、当たり前とはいえ非常に重要な示唆を含んでいます。障害者という言葉で一律の定義をすると、その対応がより困難になるという考え方は非常に素晴らしいと思いますし、感情論や善悪論でその対応を考えると、結局誰のためにもならないという主張は、非常に納得がいきました。

 経済理論をベースに障害者を考えることは、高齢者に対する考え方にも適用できるため、今後の社会を作り上げるために我々全員が確実に学ばなければならないことだと思います。逆にこういった切り口がなければ我々はこういった問題を考えるきっかけを失いますし、それが福祉コストをさらに押し上げる原因にもなることを気づく必要もあると思います。

 ということで、障害者問題を切り口に、今後の福祉や高齢者のあり方を考えてみたい方に。

 

僕たちは世界を変えることができない。   (9/26/2011) 

 葉田 甲太  小学館  \1,365

 タイトルにつられて読んでみましたが、読んで損はなかったのでご紹介です。

 この本の正式なタイトルは、「僕たちは世界を変えることができない。 But, we wanna build a school in Cambodia.」であり、なかなか逆説的な意味を持っています。内容はその名の通りであり、平凡な(?)医学部の大学生が郵便局で見たチラシに触発され、ボランティアとして資金を集めてカンボジアで学校を建設する奮闘記になっています。

 いわゆる使命感をもったソーシャルビジネスやボランティアに関する本はよくあるのですが、若者の軽いノリで始まったボランティアについて書かれた本は希有ですし、非常に気楽に読むことができます。それでもどこにでもいる若者の等身大の葛藤と苦悩が日記風に描かれており、カンボジアの現状を通しながらボランティアについて考えさせられる内容となっています。逆に妙な使命感がない分、ストレートにボランティアのあり方を考えるきっかけになるのかもしれません。

 ということで映画の前の予習として、あるいは映画の後の復習として、お読みください。