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スーパーIT高校生"Tehu"と考える 創造力のつくり方  (7/8/2013) 

 Tehu 村上憲郎  角川書店  \1575

 それほど期待もなく読んだ本ですが、心からワクワクし面白かったのでご紹介です。

 不勉強だったので知りませんでしたが、著者のTefu氏、ネットの世界では大変な有名人だそうです。もとは中学生の時にApple storeで発表した「健康計算機」という無料アプリのダウンロード数が世界三位となり、一躍時の人になったようです。その正体は灘高に通う現役高校生であり、その嗜好の柔軟さと行動力には、驚嘆させられる人物です。そのTefu氏と対談をされるのが日本グーグルの名誉会長である村上氏であり、そのエッジの鋭い考え方を存分に披露されています。

 内容的にはITの過去から未来への俯瞰を始め、日本の今後の姿やそれを変えるために必要なこと、本当の国際競争に向かっての英語の重要性とエリート創出の必要性を様々な角度から論じており、非常に面白い内容となっています。さらにおじいさんと孫ともいえる年齢差の対談ですので、様々な観点の違いと村上氏の若さ、反対にTefu氏の慎重さがからみあい、さまざまな観点での対話となっていて興味が尽きません。

 「世界で唯一成功した社会主義」という言葉は、あまりに現在の日本を説明している言葉のためあっけにとられましたが、そのスタンスで世界をもう一度考え直すと、我々の平等感だけでは世界では戦えないことを思い知らされました。日本の戦後教育が進めた平等主義が、以下に世界競争の中で弊害となるか、日本の教育の教育に明日がないのだから、優秀な若者はアメリカを含めた世界に出た方がよい、という考えは本当に同感といわざるをえません。とはいえ私自身が凡庸な人間ですので、エリートば数多く輩出される世の中がどのように変化するのかは、想像も出来ませんが..

 ということで、日本の明日を真剣に考えたい若者に、諸手を挙げてお勧め!!

 

不格好経営―チームDeNAの挑戦  (7/1/2013) 

 南場智子  日本経済新聞社  \1.680

 なにかと評判の企業であるDeNA社の元社長である南場智子氏の自伝ですが、結構面白かったのでご紹介です。

 ご存じの通りモバゲーやビッダーズなどのサービスを提供しているDeNA社ですが、マッキンゼーのコンサルタントだった南場氏がなぜこの会社を始めたのか、そもそも南場氏はどのような人物なのかを自らの手で記されています。この手の本は、自分の経歴紹介とともに経営哲学や成功の秘訣などを織り交ぜてくるものが多いのですが、さすが元コンサルタントだけあって、かなりブラックで自虐的なユーモアでご自分の半生を正直に記されています。ご自分でも記されているとおり、まさに失敗の連続であってもそれを乗り越えた先に何があるのかをきちんと隠さず書かれています。

 私が面白かったのは、DeNA社員ではない外部の方々とのやりとりであり、世間一般のイメージと直接お会いして話すイメージが違うものなんだということを改めて認識しました。特に読売会長の通称ナベツネこと渡辺会長が、一般的なイメージと余りに違うことに驚かされました。

 しかし全体を通して感じるのは、関わってきたすべての人々に対する感謝の心です。いかなる困難もヒトによって救われる。人を成長させることが、自分の成長につながる。こんなあたりまえのことをきちんと実践出来ている経営者が少ないだけに、南場氏の経営の姿勢には感銘を受けました。

 ということで、人の成長の秘密とDeNAの強さの秘密を知りたい方にお勧め。