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SE不要論  (12/15/2014) 

 市川徹  幻冬舎  \1,404

 いやぁ、こんなに酷い本は久しぶりだったので、ご案内です。

 SE不要論、ですからどのような問題提起かと思えば、事実誤認と超浅薄な内容のオンパレードで、これほど不要な本はあまり見かけません。

 この方IT分野のライターを名乗っていますが、ITを本当に知ってるのでしょうか?MS-DOSのあとに出現したMacに対抗するルックアンドフィールOSとしてWindows95を挙げていますが、PC経験のある一般の方でもWindows3.1の存在を知っていると思いますね。システム運用管理エンジニアをSEと呼んだり、PMのポジションを部長クラスといったり、 万事この調子でいつの時代の何を根拠としているのか本当に疑問だらけです。イノベーションの事例もSIerとはまったく関係のない企業ばかりですし、SEとはまったく関係のない内容が大半です。今後のオフシュア先として中国市場を一生懸命書いていますが、事実多くのSIerは中国からベトナム、マレーシアなどにとっくに移行しています。さらに今後 期待されるSIerの事例として、申し訳ないですがまったく聞いたことのない会社を持ち上げていますが、それもどうなのか...

 これほど酷い内容が出版されるのは、カラクリがあるからです。この本の発行は幻冬舎メディアコンサルティングという会社ですが、この会社は自費出版を企画する会社のようです。つまり著者が数百万のお金を払えば幻冬舎ブランドで出版・流通できるビジネスです。基本出版社は損をしませんし、万が一売れればもうけが出る仕組みです。この本も先程の会社が出資し、ライターが内容を書いたと考えるのが一番素直でしょう。

 いやぁ、出版ラッシュの中で、こんな本が数多く並ぶのは、書籍や出版の衰退を進める気がするのですが... 出版社としては生き残りのために、こうするしかないのかな...

 ということで、こんな本、絶対に読んではいけません...あほくさ!

 

「ザクとうふ」の哲学  (11/10/2014) 

 鳥越淳司  PHP  \1,512

 相変わらずこの手の本ばかりのご紹介になってしまいますが、それでも本当に面白かったのでご紹介です。

 タイトルでおわかりの通り、この本は豆腐業界のビッグブランドである相模屋食料(株)の社長が書かれた本です。男前豆腐店や茂蔵を展開する篠崎屋など、豆腐屋の社長が書かれた本は数多く読みましたが、この本も本当に面白い内容でした。元々は雪印乳業の営業マンであった鳥越氏がどのようにして豆腐づくりに関わっていくか、また豆腐を極めるためにどのような努力をしているか、というモノ作りの核心や大切な部分を本当に熱く教えてくれます。生協の指導の下HACCPをクリアする話では、新工場を立ち上げてそれを短期間で改善を繰り返す経験を通し、標準化の重要性とその先にある匠の技の世界を丁寧に教えてくれます。またそこから、プロセスイノベーションとプロダクトイノベーションを同時に起こすこの社長の発想の豊かさに驚かされました。

 何より面白かったのは、ガンダムマニアである社長が、なぜザク豆腐を手がけたのか、という話でした。豆腐は白いからガンダムをつくればと素人的には思うのですが、そこでザクを選ぶマニア心理とそれを実現するエンジニアとしての維持はとても面白く感じました。

 ということで、豆腐好きのガンダムマニアの方にお勧め。