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■人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 (10/17/2016) 



井上智洋 文藝春秋 \840
S.M.A.R.T.の関係でこのところ人工知能本をよく読みますが、この本は本当に説得力があり面白かったのでご紹介です。
著述されたのは駒澤大学の講師をされている、新鋭の経済学者のようであり、非常に論理的に人工知能が経済に与える影響を論じられています。一般的な人工知能の紹介ではなく、さりとて単なる経済に対する悲観的影響を喧伝するわけでもなく、非常に読みやすく可能性の高い未来とその対策を論じられています。
人工知能の発展が仕事を奪う、ということはどこでも言われていますし、私自身会計士や弁護士などの知能蓄積型の専門職は優位性を失うと言ってきました。この著者もさまざまな研究や論文をベースに人工知能がどのように人間から仕事を奪うか、そしてどのようなビジネスが今後生き残っていくかという点を明確に述べられています。その上で大半の人間が仕事を失うことの経済的意味、その中で消費を行うためにどのような制度や仕組みが必要となるかをきちんと論じられており、非常に参考になりました。
人工知能の性能や危険性を論じた本は沢山ありますが、経済の観点からきちんと分析され、対策も提言されている本は少ないと思います。また意外と人工知能の専門書よりわかりやすく人工知能の本質が述べてあり、技術側面ではなくビジネス側面での理解が進みます。
ということで、読みやすく有用な書籍と思いますので、この先の世界の一つの可能性を知りたい方に強くお勧め!
■好奇心を“天職"に変える空想教室 (12/14/2015) 




植松努 サンクチュアリ出版 \1,350
なんだかんだとサボってしまい、一年ぶりの更新となりました。しかしこの本だけは紹介しないと、という気持ちで久しぶりにご紹介です。
この方TEDxでは有名な方だったようですが、小説の下町ロケットの登場人物そのものの方のようであり、北海道で本業のリサイクル用のマグネットを製作・販売の傍らロケットの製作を行われているようです。植松氏はさまざまな経験や失敗を通して様々なことを学び、正しく生きるために子供の頃の夢だったロケットを作り始めたようです。現在では本気にペイロードの高いロケットを研究し、実験飛行させており、JAXAとの共同研究もされているようです。
この本では、なぜその夢に向かって努力を始めたのか、多くの方が夢をあきらめる理由とそれが人を苦しめる原因になること、どうせ無理という言葉の怖さを丁寧に教えてくれます。まさにエジソン同様努力の人ですが、その努力を続けることが非常に当たり前に感じられるぐらい説得力のある内容を持っています。私自身常々申し上げている数多くのことも同じように述べられていますし、面白がって人生を歩んでいる姿がありありと伝わってきます。さらにその社会心や義侠心もすばらしく、久々に心から共感できる内容が多い本だと感じました。
この方の本は名言の塊ですが、特に印象に残ったのは、「お金が必要な夢 お金がないと無理な夢 = 誰かがしてくれるサービス」という言葉です。つまり譲ってくれる人がいるから夢が実現するだけであり、自分でつくればお金は不要、ということを意味するようです。となると、お金を追い求めることが大切なのではなく、自分の実現したいことを自分で実現することが大切であり、それは万人にとって可能である、という真理を教えてくれます。逆に出来ることが増えれば、それは誰かに提供出来ることを意味しますから、それが仕事になるということのようです。本当に素晴らしい。
ということで、この本を読んでもう一度ご自分の生き方を考えてみたい方に、心からお勧め!