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■死ぬこと以外かすり傷 (12/3/2018) 

箕輪厚介 マガジンハウス \1,512
圧倒的な熱量で書かれた本であり、非常にテンポ良く読めました。変わりゆく時代にはこういった若者が必要ですし多くの若者にとって参考となりますのでご紹介です。
この著者の方は現在幻冬舎に所属する編集者のようですが、もとは双葉社で営業をされていた方のようです。とはいえ入社当時からはみ出しものであり、独自の感性から幻冬舎社長の見城氏に「たった一人の熱狂」を依頼したり、格闘家の青木真也氏の「空気を読んではいけない」などを出版したようです。幻冬舎に移籍後も落合陽一氏の本を手がけたり会社員でありながら独自の起業と遂げたりと、非常に面白い取り組みをされているようです。企業に所属しながら起業し給料以上の報酬を得るなど面白い考えを持っており、さらにそれを実践されているとてもユニークな方のようです。
何より面白かったのは、その熱量とスピード感かもしれません。自分が熱中できることを全力で行い、成功であれ失敗であれ結果はそこについてくる、という考えは今の起業家の絶対条件のように感じましたし、社会に迎合することなくチャレンジする姿勢は、本当に重要と感じます。しかし最近はこういった私の理解を超えた若者がつぎつぎ出現し、実績を残してくれます。その過程では老頭児には理解出来ない考えや行動もあるのかもしれませんが、社会の変革とはこういったことなのかもしれませんし、それを
社会の再定義と呼ぶのでしょう。
こういった考えに批判や反発があるのはよくわかりますし、勝ち組の論理という考えも理解出来ます。それでもそこに共通するいい意味でのずるさや無邪気な真剣さは、今に生きる誰もが学ぶべきヒントのように感じます。
ということで、現代における一つの変革ポイントを学びたい方に。
■AI vs. 教科書が読めない子どもたち (2/19/2018) 




新井紀子 東洋経済新報社 ¥1,620
数年に一冊のエキサイティングかつ面白い本に出会うことが出来ました。年明け早々大当たりを引き当てた気分です。調べてみるといろいろなメディアで紹介されているようですが、私が出会ったのは川崎の書店でしたが、久しぶりに真剣に内容に引き込まれました。
タイトルは「AI」と「教科書を読めない子どもたち」ですから、一見すると関係性の低い内容に見えます。しかしこの本を読むと、この二つの相関関係が非常に強く、なぜAIに人間の仕事が奪われるかが解りますし、AIの脅威を正しく認識し人間がどう変わっていく必要があるかを本当に明確に理解出来る内容になっています。
この著者の方は、AIを使って東大入試にチャレンジする「東ロボくん」を開発していた国立情報学研究所のプロジェクトリーダの方であり、本当の人工知能研究の第一人者です。しかしこの研究によって、AIは「知識に比べ幼稚な知性」しかもたないことに気づかれます。つまりAIは数学理論の塊であり、たとえビックデータがあって数学の基本の論理・確率・統計以外の処理が出来ないことから、人間のように読解力をベースとした意味の理解が出来ない人工知能の限界に気づかれたようです。しかしこのことは、日本の学校教育の問題であることにも気づかれ、学生の読解力を高める研究を開始されたようです。
内容は、人工知能の第一人者で数学者であることから、AIの本質をきちんと表現されており、未根拠のシンギュラリティなどを明確に否定されています。同時にAIが徹底的に効率化を進め、冗長な企業は生き残れないことを指摘していますし、創造性あふれる人材の極端な不足と慢性的な失業が常態化する未来の可能性についても言及しています。たしかに、これまでの教育のあり方を本質に変えなければ、危うい未来が到来することを実感できます。
ということで、この本だけは万人にお勧めできますし、すくなくともITに携わる人間は必読です!
ということで、社会構造に過適合してしまったすべてのビジネスパーソンにお勧めです。